解決事例

遺産分割協議書で署名・押印拒否への対応【弁護士が事例解説】

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

『相手が遺産分割協議書にサインしてくれません・・・』

『遺産分割協議を拒否することは可能なのでしょうか?』

『遺産分割協議を成功させるポイントは?』

デイライト法律事務所の相続対策チームには、このような遺産分割協議に関するご相談が寄せられており、多くの解決実績があります。

以下、実際の解決事例をもとに、解説しますので参考にされてください。

 

協議を頑なに拒む相続人を説得して解決できた事例

状況

被相続人 86歳で死亡(男性Tさん) 遺産:不動産及び預貯金600万円程度
相続人 配偶者Aさん、子どもXさん、Bさん、Yさん
相談者 Nさん

 

相談の経過

書類Nさんは、父親であるTが死亡し、他の相続人であるAさん、Bさん、Yさんと話し合いをして、Tの事業を継ぐXが全ての遺産を引き継ぐことにし、遺産分割協議書の作成をしようとしていましたが、Yさんが協議書に押印する直前で翻意し、印鑑を押さないと言い出しました。

その後、Yさんは頑なに押印を拒否し、結局、協議ができないまま時間だけが過ぎていく状態となってしまいました。

そこで、困ったNさんは、今後のことについて、弁護士に相談しました。

 

弁護士の関わり

Nさんから相談を受けた弁護士は、まずは相続財産を確定させたうえで、YさんがTさんから生前に受けた贈与がないかを確認しました。

そうすると、Yさんは相続分を超える生前贈与を受け取っており、特別受益に該当するものであることから、Yさんの相続分は0であることがわかりました。

もっとも、早期解決のためには、Yさんを説得する必要があるため、Yさんの相続分は0であるものの、数十万円の解決金を支払うということを提示しました。

しかし、その提示にも関わらずYさんは一切弁護士に連絡をすることはなく、弁護士からの電話も無視するという状態でした。

そのような状態であったため、弁護士は早期に調停に移行することとし、調停を申し立てたところ、裁判所には行けないという連絡がYさんからあり、特別受益のことについても最終的に当初の提示の条件で合意をすることができました。

裁判所の判断がでるまでには、相当な時間がかかるため、早期に解決をすることができたといえます。そして、合意の直後、Yさんは病に倒れてしまいましたので、もし合意が少しでも遅れていれば手続きはより複雑になったことが容易に想定できます。

早期に解決することで、問題の複雑化を避けられた事例とも言えます。

 

補足

時間とノート遺産分割では、相続人の誰か一人でも遺産分割に応じなければ話がまとまらないため、調停や審判といった裁判所を用いた手続きに移行せざるを得ません。

しかし、裁判所を使った手続きは長期となる傾向にあり、平均で1年程度と言われていますので、早期の解決は望めません。

相手方が話し合いに応じないと言っている場合には、まずは相手がどこに不満を持っているのかを探り、その不満を解消するために丁寧に説明をしていくことが必要となります。

法的には確かに相手の相続する分がない場合でも、相手の事情を考慮しつつ、早期解決のメリットもあるので、解決金を支払っての解決ということもあり得るものです。

今回は、説得を丁寧に行ったことで、問題が長期化及び複雑化する事態を防いで解決を得ることのできた事例でした。

相手方への説明の方法など、最終目標や相手に合わせた弁護士の活動が必要になります。今回のケースは、弁護士を就けることで、早期の解決を得られた事案でした。

相続分は法律で決まっていますが、相手方の納得を引き出すために説明したり、一定の解決金を提示することで話し合いに応じない相手方の態度を変えることができる場合がありますので、まずは弁護士に相談することが大事です。

 

 

遺産分割協議に応じない場合の問題点

相手が遺産分割協議書に署名・押印してくれないと、以下のような問題が懸念されます。

問題点①解決まで長期間を要する

当事者同士の協議による協議による解決が難しい場合、家裁に遺産分割調停・審判を申し立てることとなります。

遺産分割調停等の手続は、一般的に長期間を要する傾向にあります。

どれくらいの期間が必要かは、相続人の数や争点の複雑性等によって異なりますが、短くて半年程度、長くなると数年かかっていると思われます。

これだけの長期間、解決しない状況が続くため、家裁の手続はおすすめできない状況です。

 

問題点②当事者の負担が増加する

遺産分割調停は、家裁での手続ですので、平日の日中に開催されます。

仕事をしている方であれば、当然、休まなければなりません。

また、調停は、だいたい1〜2ヶ月に1回程度開催されますが、1回の所要時間は数時間にも及びます。

このような手続に参加することは、当事者の方にとって、精神的、肉体的に負担となるでしょう。

 

問題点③親族間の対立が激化する

相続放棄家裁においては、それぞれが請求内容の妥当性を基礎づけるために、様々な主張を行います。

当事者の言い分等を記載した書面(陳述書など)を提出することも多々あります。

その書面には、相手に対する攻撃的な言葉や一方的な言い分が記載されていることがあり、このような書面を見ると、相手に対する嫌悪感が増大します。

このようにして、親族間の対立の激化が懸念されます。

 

 

遺産分割協議を成功させるポイント

POINT①専門家に交渉を依頼

遺産分割協議を複雑化させず、協議で円満に解決させるために、専門家である弁護士に交渉を依頼するという方法が考えられます。

親族間では、冷静な話し合いが難しくても、プロの弁護士であれば、冷静に相手と交渉できるので、協議が成立する可能性が高くなります。

 

POINT②相手にも弁護士が必要?

また、協議をまとめるために、できれば相手にも弁護士が付いていた方がよいでしょう。

相手に弁護士がついていない場合、素人の方なので、よく「法律論ではない主張」がなされます。

相続法で到底認められない無理な主張に固執されると、協議での解決可能性が低くなります。

弁護士例えば、法律上、100万円が適切な解決なのに、1000万円を要求され、それに固執されると遺産分割協議はまとまりません。

相手に弁護士がついていると、無理な主張は諦めるように説得してくれるでしょう。

このようにして、妥当な解決となる見込みがあります。

 

POINT③誠意を持って説明する

記録や書類遺産分割協議では、相手から疑問点等について、質問されることがあります。

このような場合、感情的になって、回答しないという対応をとってしまうと、双方疑心暗鬼となって、遺産分割協議はまとまりません。

相手の質問に対しては、可能な限り、きちんと回答し、また、その回答を裏付ける資料を証拠として開示するなどすべきです。

 

 

まとめ

以上、相手が遺産分割協議書に署名・押印しない場合の対応について、くわしく解説しましたが、いかがだったでしょうか?

遺産分割協議をスムーズに、かつ、適切に解決するためには、相続問題に対する専門知識と豊富な経験が必要となります。

そのため、相続問題に精通した弁護士への相談を強くお勧めしています。

当事務所の相続対策チームは、相続に注力する弁護士や税理士のみで構成される専門チームです。

遺産分割協議でお困りの方は当事務所までお気軽にご相談ください。

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