遺言で家族の世話を条件として遺産を与えることはできる?【相続弁護士が解説】


弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

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  • 万一のとき残される家族が心配です
  • 子どもが妻の面倒を見てくれるか不安です
  • 遺言で家族に負担を課すことはできますか?

当事務所の相続対策チームには、このようなご相談がたくさん寄せられています。

遺言準備は万一のことがあってからでは手遅れです。相続が「争族」問題に発展しないためにも、当事務所の相続弁護士にご相談ください。

 

遺言書に条件をつけることは可能?

一般に、遺言とは、遺言者の方がご家族などに自分の資産を与えることを記載するとイメージされがちです。

例えば、預貯金を子どもに与える、自宅不動産を奥さんに与える、などを想定される方が多いかと思います。

では、ご家族や第三者に対して、資産を残す条件として、何か条件(負担)を課すことは可能でしょうか?

 

負担付遺贈とは

民法は、「負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う」と規定しています(1002条)。

したがって、遺言書に、法律上の義務を負担させることは可能です。

これを負担付遺贈といいます。

以下、具体例をもとに解説します。

【具体例】

被相続人の夫が死亡し、相続人は妻さん、子どもBさんとCさんのケースを例とします。

夫は、生前、高齢で介護が必要な妻Aさんの今後のことを案じていました。
Aさんは、寝たきりなので自分で買い物などをすることもできませんでした。

長男Bさんは結婚して遠方で生活しています。長女CさんはAさんと同居して生活していました。

夫としては、自分に万一のことがあった場合、長女に妻の頼みたいと思っていました。

夫には、預貯金(2000万円)、自宅不動産(2000万円)、株式(1000万円)がありました。

そこで、夫は、預貯金のうち、1000万円を長女に残す代わりに、妻の世話をお願いしたいと考え、長女や長男の了承をもらいました。

 

負担付相続の遺言はどう書けばいい?

上記のようなケースは、よく見られます。
しかし、口頭での合意だけでは、後々言った言わないのトラブルになる可能性があります。
例えば、長女や長男の気が変わってしまう可能性があります。

また、口頭だと、夫の願いが正確に伝わっておらず、誤解を生じている可能性もあります。

そのため、遺言書を作成することをおすすめします。

妻の世話を負担させる遺言書の例

第◯条
1 遺言者は、長女Cに、長男Bに相続させる預貯金1000万円以外のすべての財産を相続させる。
2 長女Cは、前項の相続の負担として、遺言者の妻Aが死亡するまで、以下を履行しなければならない。
① 妻Aと同居して必要な生活費を支出し、毎日の衣食を世話する等して扶養する
② 妻Aの介護施設等への入居が必要な場合、そのための手続きを行うものとし、かつ、その費用を負担する。

 

負担付の遺言の問題点

負担付の遺言には、以下のような問題点が考えられます。

適切な遺言書の作成は簡単ではない

遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言などの様々な種類があります。
また、自筆証書遺言の場合、法律で定めれた要件を満たさなければ無効となってしまいます。
せっかく遺言書を作っても、それが無効となってしまっては大問題となります。
なお、遺言書の種類や要件についてはこちらをごらんください。

 

負担内容については専門家の意見を聞くべき

負担の内容を記載しても、法的な拘束力は発生しないことがあります。
例えば、無駄使いをしない、真面目に生活する、などの道徳的な文言を記載しても、法的拘束力はありません。
また、結婚や離婚などの身分行為をすること又はしないことを記載しても、負担としては無効となります。
そのため、

負担内容をどうするかは相続に精通した弁護士から助言をもらうことをおすすめします。

 

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