身寄りのない人の財産はどうなる?【弁護士が解説】

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

相続

弁護士の回答

利害関係があったとしても、勝手に処分することはできません。

不安

  • 身寄りのない知人のためにお葬式をしてあげたいが費用を支出できますか?
  • 孤独死した方にお金を貸していた場合返済してもらえますか?
  • 身寄りのない人が残した遺産はどこに行ってしまうのですか?

デイライト法律事務所の相続対策チームには、このような身寄りのない人の財産に関する相談が多く寄せられています。

ここでは、問題となりやすいケースをもとに解説いたします。

 

お葬式の費用を出すことができる?

冠婚葬祭身寄りのない知人がいた場合、その知人のためにお葬式をしてあげたいと思うのは至極当然のことだと思います。

そして、そのお葬式は故人のためのものですし、故人を相続する人もいないのですから、故人の財産からお葬式の費用を支出することについては一見問題がないとも考えられます。

では、法律ではどのようになっているでしょうか。

民法は、「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする」と規定しています(951条)。

わかりにくい表現ですが、これは相続財産が法人として「独立した人格」を持つということです。

したがって、たとえお葬式が故人のためのものであっても、故人の財産から勝手にお葬式の費用を支出することはできません。

 

 

相続財産管理人を選任する

では、どのようにすればよいでしょうか。

相続人のない財産から葬儀費用等の支払いを受けたい場合、相続財産管理人選任の審判の申立てをしなければなりません。

相続財産管理人は、「利害関係人又は検察官」が請求し、家庭裁判所によって選任されます(民法952条)。

故人のために葬儀費用を支出した場合、利害関係人として相続財産管理人を請求することが可能です。

なお、相続財産管理人になるのは弁護士などの専門家です。

六法全書と弁護士バッジ相続財産管理人が選任されたら、家裁はこれを広告することとなります。

広告とは、官報公告という刊行物に掲載するものです(一般の方はほとんど目にすることはないでしょう。)。

相続財産管理人が選任されると、相続財産管理人に対して、葬儀費用等の支払いの請求をすることが可能となります。

葬儀費用に関しては、これを誰が負担すべきかについては諸説ありますが、社会的に相当と考えられる葬儀費用については相続債務として相続財産から支払われるべきものであると考えられています。

弁護士そのため、相続財産管理人は、葬儀費用を立て替えた者から請求があれば、相続財産より葬儀費用の支払いをすることができるのです。

もっとも、一口に葬儀費用といってもその内容は千差万別であり、例えば告別式の飲食代として極めて高額な費用を請求する場合等については、

社会的に相当な葬儀費用を超えるものとして相続財産から費用の返還を受けられない可能性もあるので注意が必要です。

 

 

孤独死した人にお金を貸していた場合

お金例えば、故人にお金を貸しておりまだ返済を受けていない場合が考えられます。

このような場合でも、相続人がいなければ、遺産は法人となります。

そのため、故人に対して金銭の返還請求ができるからといって、勝手に故人の財産から返済を受けてはいけません。

この場合も、利害関係人として、相続財産管理人の選任を家裁に請求できます。

相続財産管理人の広告のあと、相続人の存在が明らかにならなかった場合、相続財産管理人は、すべての相続債権者や受遺者に対し、一定の期間内(2ヶ月以上)にその請求の申出をすべき旨を公告します(民法957条1項)。

 

 

特別縁故者として遺産を受ける可能性

不安例えば、故人と内縁関係にあった人、同居していた人、身の回りの世話をしていた人などがいれば、特別縁故者として、相続財産の全部、又は一部の分与を受ける可能性があります。

特別縁故者からの請求がなく、処分されなかった相続財産は国庫に帰属することとなります(959条)。

 

 

まとめ弁護士以上、身寄りがない人の遺産について、問題となりやすい事案をもとに、くわしく解説しましたがいかがだったでしょうか?

故人に対して利害関係があったとしても、その財産から勝手に支出するなどをしてはいけません。

利害関係人として、家裁に相続財産管理人の選任を請求すべきです。

また、一定の場合は特別縁故者として財産の分与が認められる可能性があります。

相続財産管理人の選任や特別縁故者に該当するか否かの判断は、素人の方には難しい場合があります。

このような場合は専門家にご相談されることをお勧めいたします。

事務所玄関当事務所の相続対策チームは、相続問題に注力する弁護士・税理士のみで構成される専門チームであり、相続財産管理人の選任申し立て等をサポートしています。

相続問題でお悩みの方は、当事務所までお気軽にご相談されてください。

なお、ご自宅の近くに専門の弁護士がいない方に対して、当事務所ではLINEなどを活用したオンラインによる相談を実施しています。

ご相談の流れはこちらのページを御覧ください。

 

 

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執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

専門領域 / 個人分野:家事事件 法人分野:労働問題  

実績紹介 / 相続の相談件数年間285件(2019年実績)を誇るデイライト法

律事務所の代表弁護士。家事事件に関して、弁護士や市民向けのセミナー講

師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおい

て家事事件での取材実績がある。「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を

執筆。


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