自分の相続分を他の者へ譲渡することはできますか?

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

相続

掲載日:2016年3月22日|最終更新日:2020年2月3日
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弁護士遺産分割前の相続分は、他の者へ譲渡することが可能です。

相続人の譲渡とは

11bb46c6002eae07f7b4258e97acbaa4_s民法905条第1項は、「共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。」と規定しています。

このことから、遺産分割前の相続分の譲渡は可能であると解されています。

相続分の譲渡は、次のようなケースで必要とされています。

相続分の譲渡のメリット
  • 多数当事者の複雑な事案において、遺産の取得を望まない人や遺産分割に関わりたくない人等があって手続の進行に支障をきたす場合に、これらの人を相続分の譲渡により、手続から脱退させて、紛争の効率的解決を図る。
  • 内縁の配偶者など、本来相続人として扱ってよい第三者に対し、相続分を譲渡することによって、第三者が遺産分割に関与できる。
  • 共同相続人の1人に相続分を譲渡することにより、相続放棄や遺産分割に類似する機能が期待できる。

 

 

相続分の譲渡の要件

万年筆相続分の譲渡は、相続の開始後から、遺産分割前又はそれと同時に行われる必要があります。

理論上は口頭でも可能ですが、後日の紛争を避けるために、書面の方が安心です。

また、譲渡は有償でも無償でも構いません。

ただし、相続税が発生する相続の場合で、有償譲渡をしたときには、対価を受けた部分についての相続税を申告する必要があります。

なお、一部譲渡についても認められています。

 

 

効果

相続分を全部譲渡した譲渡人は、遺産分割手続から離脱しますが、移転登記義務、占有移転義務などを負うときは脱退できず、形式的に当事者として残り、事実上、利害関係人として参加することになります。

譲受人は、譲渡人が遺産の上に有する持分割合をそのまま承継取得し、遺産分割手続に関与することができるようになります。

また、積極財産だけでなく、債務も承継することになります。

相続債務がある場合の注意点

相続債務がある場合、その債務は、法定相続分にしたがって当然に相続人に分割されます。

そして、相続分の譲渡は、あくまで譲渡人と譲受人との間の内部的な持分の移転ですので、債権者との関係では、依然として、譲渡人も債務者という扱いになります。

なので、相続分の譲渡をしただけでは、債権者から法定相続分にしたがった債務の支払いを請求されることになります。

その場合には、相続債権者から免責的債務引受の同意をもらうことで、初めて相続債務からも解放されるということになります。

 

 

取戻権

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相続分が相続人以外の第三者(内縁の妻など)に譲渡された場合、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、相続分を譲り受けることができます(民法905条1項)。

これは、第三者が遺産分割協議に加わることを防止することを趣旨としており、共同相続人間の相続分の譲渡の場合には取戻権はありません。

なお、償還の「価額」については、取戻権行使時の時価と解されています。

相続分の取戻権は1ヶ月以内に行使しなければなりません(民法905条2項)。

取戻しをした場合には、取戻権を行使して償還のための価額・費用を負担した相続人に相続分が移転します。

 

 

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執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

専門領域 / 個人分野:家事事件 法人分野:労働問題  

実績紹介 / 相続の相談件数年間285件(2019年実績)を誇るデイライト法

律事務所の代表弁護士。家事事件に関して、弁護士や市民向けのセミナー講

師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおい

て家事事件での取材実績がある。「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を

執筆。


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