持戻免除の意思表示について教えてください。
目次
持戻免除の意思表示とは
特別受益が認められると、その分の財産が相続財産に持ち戻されます。
しかし、被相続人として特別受益の持戻しを望まない場合が少なくありません。
その場合に、被相続人が特別受益を持ち戻す必要がない旨の意思表示をすることで持戻をなくすことを持戻免除の意思表示といいます。
持戻免除の意思表示の方法
特に指定はありません。
口頭でも、書面でも可能ですし、遺言ですることもできます。
ただし、口頭で残す場合、証拠もないため、意思表示自体があったかどうかが争われる可能性もあります。
なるべく、書面などで形に残すようにしましょう。
黙示の持戻免除の意思表示
持戻免除の意思表示で特に問題となるのが、黙示の持戻免除の意思表示が認められるかということです。
明示的には、持戻免除としていなくても、その事案における諸事情を総合考慮して、認定されることになります。
東京家裁 平成12年3月8日 審判
「黙示的意思表示あることを認定するためには、一般的に、これを是とするに足るだけの積極的な事情、すなわち、当該贈与相当額の利益を他の相続により多く取得させるだけの合理的な事情あることが必要というべきである。」としており、参考になると思われます。
具体的には、以下のような場合が挙げられます。
①相続人が家督を相続するという場合
農地などを贈与し、家業である農家を継がせている場合など
②贈与の見返りが被相続人になされている場合
介護等面倒を見ることが条件とされている場合など
③相続人が相続分超えた財産を必要とするような事情がある場合
病気で独立した生計を営むことの困難な状態にある相続人に宅地を贈与した場合など
審判例などに照らして、上記のような場合には、黙示の意思表示が認められやすいと言えますが、事案ごとに事情は異なりますので、黙示の意思表示の認定もその事案ごとに細かく検討する必要があります。
この検討は、法律家でも困難が伴うものですが、当事務所では相続を専門にしている弁護士が対応いたします。
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弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士
所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会
保有資格 / 弁護士・税理士・MBA
専門領域 / 個人分野:家事事件 法人分野:労働問題
実績紹介 / 相続の相談件数年間285件(2019年実績)を誇るデイライト法
律事務所の代表弁護士。家事事件に関して、弁護士や市民向けのセミナー講
師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおい
て家事事件での取材実績がある。「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を
執筆。
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