遺言書の保管はどうしたらよいですか?

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

遺言書

弁護士の回答

遺言を素人の方が自分で保管するときは、保管場所、相続人への通知等、気をつけなければならない点があります。

 

遺言の保管場所はどこがいい?

金庫のイメージイラスト遺言者としては、遺言書の保管場所については十分検討して保管しておく必要があります。

すなわち、遺言書とおりの内容を実現しようとするためには、遺言者の死亡後に遺言書を発見してもらわなければなりません。

そうすると、遺言者しか知らないような場所に隠していては、せっかく遺言書を作ったのに、その意思が実現されずに終わってしまうということが十分考えられます。

逆に、あまりに相続人に知れやすい場所に保管していた場合には、相続人から発見され、その遺言書の内容を問いざたされたり、偽造や変造、破棄されるなど、遺言者がまだ生きているうちからトラブルに発展しかねません。

したがって、遺言者が亡くなった後、遺品整理をしている際に見つかるような適度な場所を見つけ、その場所に保管しておくことがよいでしょう。

 

 

専門家に預けるメリット

遺言を弁護士に預けておくと次のようなメリットが考えられます。

弁護士に預けるメリット
  1. ① 遺言を作成したり、内容をチェックしてもらえる
    単に預けるだけではなく、内容の適法性についても確認してもらえるので、大きな安心感を得られるでしょう。
  2. ② 紛失や破棄のおそれがない
    法律事務所に保管していることから、紛失や破棄の心配がありません。
  3. ③ 遺言内容の修正が簡単
    遺言を作成後、内容を見直したり、修正したりすることが比較的簡単にできるでしょう。
  4. ④ 相続発生時に相談できる
    相続人間に争いがなければ、遺言の内容等について相談することが可能でしょう。
デメリット
法律事務所に預けていることを相続人が知らなければ、相続が発生した際に、遺言が表に出ることはありません。

そのため、法律事務所に預けていることを相続人に明らかにしておく必要があります。

 

 

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言の方式で遺言書を作成すると、その遺言は公証役場で保管してくれます。

そのため、紛失や破棄のおそれなどはありません。

デメリット

公正証書遺言についても、これを作成している事実を相続人が知らなければ、相続が発生した際に、遺言が表に出ることはありません。

そのため、公証役場に遺言があることを相続人に明らかにしておく必要があります。

また、公証役場での遺言作成は、公証人が関与しますが、遺言書自体を弁護士が作成するわけではありません。

そのため、相続問題に強い弁護士に相談した上で、様々な助言を受けながら遺言書を作成されたいという場合は、専門の弁護士にご依頼された方がよいでしょう。

公正証書遺言と自筆証書遺言の違いについて、くわしくはこちらのページをご覧ください。

 

 

遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合はどうする

解説する男性のイメージイラストでは、遺産分割協議が終わった後に遺言書が発見された場合にはどうなるのでしょうか。遺産分割協議をやり直さなければならないのでしょうか。

結論からいうと必ずしもそうではありません。

すなわち、遺言者の意思は最大限尊重されるものであり、法定相続分よりも優先するものです。

そして、遺産分割協議の内容と遺言書の内容が異なれば、遺言書の内容と異なる遺産分割協議は無効となります。

ただし、ここで遺産分割を必ずやり直さなければならないかというとそうではありません。

このような場合には、まずは遺言書の検認の手続を家庭裁判所でとった上で、相続人全員が集まり、遺言の内容に反する遺産分割協議の内容に同意するかどうかを確認します。

そして、遺産分割協議の内容どおりでよいということになれば、協議の内容通りでよいということになりますが、一部同意しない人がいる場合には、再度分割の協議をする必要があります。

このようなことがないよう、先に述べたような観点から、遺言書の保管場所については適切な場所を入念に選定する必要があります。

 

法務局の遺言の保管制度とは

自筆証書遺言について、法務局が保管する制度のことです。

家裁による遺言の検認を省略し、相続登記や遺産である預貯金の解約手続等を早期に行うことができるというメリットがあります。

この制度について、くわしくはこちらのページを御覧ください。

 

まとめ弁護士以上のように、遺言書を自分で保管する場合、保管場所等、気をつけなければならない点が多々あります。

そのため、弁護士等の専門家に預ける、公正証書遺言を作成する、法務局の制度を利用するなど、他の選択肢を含めて、どれが最善化を検討すべきです。

また、遺言については、その記載内容も重要です。さらに、形式の不備があった場合、無効と判断される可能性があるため、法的な有効要件を満たすかどうかの確認が必要です。

これらを適切なサポートは、遺言書に精通した専門家でなければ難しいと考えられます。

そのため、遺言について疑問がある場合、まずは相続専門の弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

当事務所の相続対策チームは、相続問題に注力する弁護士が所属しており、親身になって解決方法をご提案いたします。

当事務所のご相談の流れについてはこちらのページを御覧ください。

 

 

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執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

専門領域 / 個人分野:家事事件 法人分野:労働問題  

実績紹介 / 相続の相談件数年間285件(2019年実績)を誇るデイライト法

律事務所の代表弁護士。家事事件に関して、弁護士や市民向けのセミナー講

師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおい

て家事事件での取材実績がある。「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を

執筆。


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