遺言書の内容が不明確な場合はどうなる?【弁護士が解説】

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

遺言書

弁護士の回答

遺言者の真意を探究しますが、遺言の内容がどうしても解釈できない場合、その部分や全体が無効になります。

 

 

遺言に対する判例の解釈の指針

弁護士と税理士遺言の内容が一見して明確でない場合には、遺言者の真意を解釈して、その遺言書の内容の意味を探究していきます。

しかし、多くの事例では遺言の解釈が問題になるのは遺言者の死亡後であり、当事者や弁護士などが本人に対して直接その真意を確認することは不可能です。

そして、遺言書に書いてあることだけをただ眺めているだけでは、遺言者の真意を探究することは困難です。

そこで、遺言書に書かれていること以外の諸事情を考慮して、遺言者の真意を探究せざるをえません。

判例(最高裁判決昭和58年3月18日判時1075-115)もこの点について遺言書に書かれていること以外の諸事情を考慮することも認めています。

ただし、遺言書以外の事情を考慮することはできても、遺言の内容を全く無視することはできません。

あくまで遺言書に書いてある文言を前提としつつ、他の事情を遺言解釈をサポートするものとして使っていくのです。

具体例を見てみましょう。

 

遺言が問題となったケース①

具体例

遺言者Aさんの執務机の中から、「私に万一の事があれば、本件全てを実弟Bにお渡しください」と記載された自筆証書遺言が発見されました。

相続人であるAさんの妻や子は、「万一の事」「本件全て」の意味が不明であるとして遺言の解釈を争いました(大阪地判平成21年3月23日判時2043-105のケース)。

このケースで裁判所は、本件遺言書作成当時の事情やAさんの置かれていた状況として、

  • Aさんは妻や子とは完全に別居し、妻からは離婚調停を申し立てられていた
  • Bさんが経済的に窮したAさんを援助していた

という事情を考慮し、「万一の事」とは自らの死を意味し、「本件全て」とはAさんが執務机の引出しの中に保管していたものと特定することはできるとして、明確性に欠けず遺言は有効であると判断しました。

遺言が問題となったケース②

遺産「全部を公共に奇興する」という遺言について

このケースで裁判所は、遺言書は遺産の全てを公益目的に役立てたいという意思を有しており、本件遺言はその「目的を達成することのできる団体等にその遺産の全部を包括遺贈する趣旨であると解するのが相当である」と判断しました。

 

 

まとめ弁護士以上のように、裁判例を前提とすると、遺言の解釈に際しては、

    1. ① 遺言者の真意を探究すべきである。
    2. ② 可能な限り遺言が有効になるように解釈すべきである。
    3. ③ 真意の探究にあたっては、まずは遺言書の記載自体から探究すべきであり、記載自体から遺言者の意思が合理的に解釈しうる場合には、遺言書以外の諸事情をもって、意思解釈の根拠とすることは許されない。
    4. ④ 遺言書に書かれている文言自体から遺言者の真意が判然としない場合には、遺言書作成当時の事情や遺言者の置かれていた状況を王慮して、遺言者の意思を探究すべきである。

ということができます。

とはいえ、遺言の内容を後に争われないよう、遺言書は明確に記載していくことが必要です。自分ではわかっていても、知らずの内に自分しかわからない言葉遣いをしていたり、高齢になってくるとうまく書きたいことを書けないということがあると思います。

そのような点が心配な方は、一度弁護士にご相談されてみてください。

デイライト法律事務所では、遺言書作成に精通した弁護士が、書き方のみならずその内容についてもアドバイスさせていただきます。

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執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

専門領域 / 個人分野:家事事件 法人分野:労働問題  

実績紹介 / 相続の相談件数年間285件(2019年実績)を誇るデイライト法

律事務所の代表弁護士。家事事件に関して、弁護士や市民向けのセミナー講

師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおい

て家事事件での取材実績がある。「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を

執筆。


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