遺産分割の調停手続
◆調停とは
調停とは、裁判所を使った話合いになります。
当事者の1人が裁判所に調停を申立てることにより、調停は開始します。
調停では、男女1人ずつの調停委員と、裁判官1人の3人で調停委員会を構成しています。
◆調停とは
調停期日の通知
当事者は、申立人と相手方に分かれ、交互に指定された部屋に入ります。そのため、原則として複数の当事者が一度に顔を合わせて話をすることはありません。
部屋には、調停委員2人が待機しており、当事者それぞれの話を聞いて、他方当事者に伝えます。裁判官は重要な局面では同席しますが、基本的には調停委員2人のみが待機していることになります。
調停では、以下の5つのポイントを中心に話合いが行われます。
①相続人と法定相続分の確定
相続人が他にいないかや各相続人の相続分を確認します。
②遺産の範囲の確定
被相続人が残した財産(遺産)の範囲を確認します。
③遺産の評価
被相続人が残した財産が確認できた場合、その評価の方法や評価額を決めます。
④特別受益、寄与分の確定
生前贈与をうけた相続人がいる場合、あるいは被相続人の生前に遺産の維持形成のために特別に活動した相続人外ある場合は、その内容を確認します。
⑤ 各相続人の最終取得額の算出
各相続人が、遺産分割により最終的に取得する金額を決定します。
調停期日は概ね1ヵ月に1回のペースで進みます。
1回の期日は、2時間程度で終了しますので、解決まで数回の期日を経るのが一般的です。
遺産分割調停は争点も複雑化しやすく、早くても半年、長ければ数年を費やすこともあります。
最初の数回の期日を重ねた後、裁判所の評議に移ります。
ここで、争点を絞り、明確化します。
その後、期日と評議を重ねて、合意を成立させることを目指します。
調停成立
調停が成立すると、調停での合意に基づき、遺産を分割することになります。
調停不成立
もっとも調停は、あくまで裁判所を使った話合いになります。そのため、当事者間で合意できなければ、調停は不成立となります。
調停が不成立となると、次は審判手続に移ります。
◆遺産分割調停で弁護士を活用する
調停は、弁護士をつけなくても手続を行うことが出来ます。 しかし、相続に関する手続、特に遺産分割の手続は、高度に専門的な知識が必要です。そのため、知らず知らずのうちに複雑化し、不利な内容で合意が成立してしまうおそれがあります。
調停委員会も、あくまで中立的な立場で話を聞きますので、当事者いずれかの味方になって、ことが有利に運ぶようアドバイスしてくれるわけではありません。
他方で、弁護士はご依頼いただいた方の代理人として、その方の利益を最大限にするための活動を行います。 そのため、法律知識を駆使して、ご依頼者様の利益を最大限にした内容で合意を成立させることが可能になります。


