遺産相続を弁護士に相談すべき5つの理由
遺産相続は自分で解決するには難しい問題がいっぱい?
遺産相続に適切に対応するためには、相続法に関する高度な法律知識、税務や紛争解決の手続きに関する知識が必要となります。
また、知識だけではなく、豊富な解決実績に基づくノウハウが必要となされます。
さらに、遺産に不動産や非上場会社の株式、高価な宝石等の動産がある場合、それを適切に評価するスキームも身につけておく必要があります。
通常、上記の知識、ノウハウ、スキームは持っていなくて当然です。
そのため、何も知らずに自分で遺産相続に対応すると、親族同士でもめて「争族」に発展してしまうことがあります。
また、親族同士でもめることがなくても、専門知識がないと、損をしてしまう可能性もあります。
例えば、本来得ることができた遺産の1割程度しか取得していないなどです。この場合損をしていることすら気づかないでしょう。
そのため、遺産相続は、まずは遺産相続にくわしい専門家に相談すべきです。
専門家に相談しなかった場合に想定される典型的な問題点
遺産相続の専門知識がないために損をする
例えば、法定相続分(遺産の取り分)、対象となる遺産の範囲、遺産(不動産等)の適切な評価額は、ほとんどの遺産相続で押さえておくべきポイントとなりますが、この基本的なものですら、一般の方はよくご存知ではありません。
また、お亡くなりになる前に多額の贈与や遺贈を受けた方がいる場合、そのまま法定相続分で分けると不公平が生じます。
その不公平を正す制度が「特別受益」と呼ばれるものですが、その制度を知らないと、不公平な配分のまま遺産相続は終了してしまいます。
さらに、遺留分と言って、最低限取得できる遺産があるのに、それを知らず、遺言書を鵜呑みにしてしまい、損をしてしまうことも見受けられます。
親族間の対立が激化する
遺産相続についてよく知らず、いきなり自分の希望を伝えると、親族間でもめる可能性があります。
「身内」であるがために、感情的になってしまい、冷静な話し合いはできなくなることが多く見受けられます。
必要な法的手続きが取れない
例えば、遺産相続は、できるだけ早い段階で、遺産分割協議を行うべきです。
遺産分割協議を行わずに長年月が経過すると、銀行預金は引き出せない可能性があります。
また、不動産については、2次相続(相続人が死亡してさらに相続が発生すること)によって、相続人がどんどん増えてしまい、後になればなるほど遺産分割協議は難航します。
また、相続放棄や遺留分侵害額請求には期限があります。
これらを行使できなくなってからご相談にこられても「時既に遅し」となることがあります。
面倒な手続きを自分でしなければならない
遺産分割協議書は、通常自分で作るのは難しいです。
また、遺産分割協議の前提として、遺産の調査、遺産の評価、相続人の範囲の調査をしなければなりませんがこれも通常難しいといえます。
相続放棄や遺留分侵害額請求についても、適切に行うためには専門家の助言が必要でしょう。
納得できない結果に終わってしまう
遺産相続問題で、最も大切なことは、利害関係者全員の「納得感」です。
法的根拠がない、またはあやふやな状況で、親族同士で話し合ってもなかなか協議はまとまりません。
仮に、何らかの協議がまとまったとしても、モヤモヤが残る結果となってしまうでしょう。
相続の専門家の選び方
相続と一口に言っても、遺言書、遺産の調査、遺産分割、相続放棄、家族信託、相続税など、さまざまな問題があります。
他方、相続問題をサポートする専門家は、弁護士の他にも、行政書士、司法書士、税理士、その他各種団体などが存在します。
素人の方は、そもそもどこに相談したらよいかを迷われると思います。
弁護士の職務は、法律相談・交渉・調停手続、訴訟対応、遺言書や協議書作成などの法律事務全般であり(弁護士法第3条)、相続に関するすべての法律問題に対応できます。
これに対して、弁護士でない者が法律事務を扱うのは、法律で原則として禁止されています。これは、弁護士以外の者が法律事務に関与すると、間違った対応や詐欺的な行為等により深刻な事態に陥る可能性があるからです。
弁護士でない者が相続問題等の法律事務を扱えるのは、法律で例外的に定められた場合に限ります。
これをまとめたのが下表です。
弁護士 | 行政書士 | 司法書士 | 税理士 | 各種団体等 | |
---|---|---|---|---|---|
法律相談 | ◯ | × | × | × | × |
遺産分割協議書 | ◯ | ×※1 | △※3 | × | × |
遺言書 | ◯ | ×※2 | ×※4 | × | × |
相続放棄 | ◯ | × | △※5 | × | × |
交渉代理 | ◯ | × | ×※6 | × | × |
調停代理 | ◯ | × | × | × | × |
訴訟代理 | ◯ | × | × | × | × |
登記 | ◯ | × | ◯ | × | × |
相続税 | ◯ | × | × | ◯ | × |
※1:遺産分割協議書は、①相続全般に関する一般的な説明は行政書士も可能ですが、②どのような内容の遺産分割協議書にするか等の個別具体的な相談については、法律相談となるので弁護士しかできません。 ※2:遺言書の内容をどのようにすれば良いかについての相談は法律相談となるので、行政書士の業務範囲ではありません ※3 司法書士はすべての遺産分割協議書の作成はできませんが、遺産の中に不動産があり、相続登記を行う場合は許されます。 ※4:遺言書の内容をどのようにすれば良いかについての相談は法律相談となるので、司法書士の業務範囲ではありません ※5 司法書士が相続放棄の手続については、書類作成の代理権しかないため、家裁から相続放棄照会書・回答書などが送られてきた場合、本人が対応しなければなりません。 ※6 司法書士は140万円以下の請求の民事事件の代理人にはなれますが、遺産分割協議など家事事件の代理人にはなれません。 |
上の表から明らかなとおり、相続問題において弁護士はすべての業務が可能ですが、弁護士以外の者は、ほとんどの業務ができません。
例外的に、不動産の登記を移転する場合は司法書士、相続税の申告を行う場合は税理士もサポートが可能であり、その分野に限ってはプロといえます。
弁護士は、登記を行ったり、相続税の助言も可能ですが、このような手続的な対応については知り合いの司法書士や税理士を紹介するなどしている場合が多いと思います。
以上から、相続問題については、まずは弁護士にご相談すべきでしょう。
なお、最近、士業でもない団体が相続問題をサポートしているケースを散見しますが、これは違法行為です。
高齢化社会を迎えて、相続をマーケットと捉えてビジネスにしている可能性がありますので、注意されてください。
相続弁護士の選び方
相続に関する相談は弁護士が最適として、次に、どの弁護士に相談するかが問題となります。
これについては、相続を専門としている弁護士に相談するのが正解です。
弁護士は法律の専門家ですが、法律と一口に言っても、様々な分野があります。相続などの家事分野の他にも、刑事事件や企業法務など、弁護士の業務は多岐にわたっています。
これらの業務はすべて専門性が高いため、いろんな分野に幅広く対応するというスタンスでは、専門性やノウハウは身につきません。
例えば、幅広く対応する弁護士の場合、相続の相談件数は年間でも数件程度でしょう。
これに対して、相続を専門分野として注力する弁護士の場合、年間百件を越える相談を受けている方もいます。
この経験の差は歴然としています。
したがって、相続問題に注力する弁護士に相談するのが一番安心できるはずです。
また、可能であれば、税理士資格を持つ相続弁護士に相談するのがベストです。
相続は、法改正もあって相続税への対策の重要性が増しています。
税理士資格を持つ弁護士であれば、相続税についてもある程度の知識があるため、ワンストップでサポートできる可能性が高いと思います。
相続弁護士に相談するメリット
相続を専門とする弁護士に相談することで、想定されるメリットとして、以下をご紹介します。
遺産相続において適切な承継を受けることができる
相続にくわしい弁護士は、法定相続分(遺産の取り分)、対象となる遺産の範囲、遺産(不動産等)の適切な評価方法について、精通しています。
また、生前に多額の贈与や遺贈を受けた方がいる場合、「特別受益」を考慮して、公平な遺産分割協議を提案できます。
さらに、事案によっては、遺留分侵害額請求を行使したり、遺言書の有効性を争うことも可能です。
これらによって、相談者が決して「損」をせず、適切な承継を受けることが可能となります。
親族間の対立(争族)を回避する
「身内」の言い分については、素直に受け入れることができなくても、法律のプロである弁護士の説明であれば多くの方は信用してくれます。
そのため、遺産相続に関して、まずは弁護士からの助言を聞き、それを踏まえて話し合うことで、親族間の対立を回避できる可能性があります。
また、当事者同士での話し合いが困難な場合、弁護士は、依頼人の代理人として、相手方と遺産分割の協議を行うことが可能です。
これにより、感情的になることなく、冷静な話し合いが可能となります。
必要な法的手続きを任せることができる
遺産相続では、相続人の範囲を調査するために、たくさんの戸籍謄本等の資料が必要となります。
また、遺産調査においては、銀行の取引履歴の照会や不動産の謄本の取得が必要となることがあります。
さらに、遺産の評価においては、不動産、非上場会社の株式、宝石、その他の遺産の時価算定が必要です。
遺産相続にくわしい弁護士にご相談されることで、これらについての必要な知識を取得できます。
また、ご自身で手続きを行うことはとても面倒です。弁護士にご依頼されれば弁護士が依頼人に代わって手続きを行うことも可能です。
納得感を得ることができる
遺産相続が終了しても、親族間の関係性は将来にわたって継続していきます。
そのため、遺産相続問題で、最も大切なことは、親族等の利害関係者全員が「納得感」を得ることです。
遺産相続にくわしい弁護士は、遺産相続に関する法律知識、最新の裁判例に精通しています。
単に、主張するだけではなく、きちんと法的根拠を示せば、説得に応じてくれるでしょう。
モヤモヤが残らない形で解決できれば、誰もが満足してくれます。
相続専門の弁護士の探し方
知り合いの弁護士で相続専門の方がいれば、まずはその方に相談されて良いと思います。
しかし、相続を専門とする弁護士は非常に少ないため、そのような方はほとんどいないと思います。
お住いの地域(同じ都道府県)で、相続専門の弁護士を探すには、ホームページが最適です。
ホームページを見て、相続を専門としている旨掲載されていれば注力していることがわかると思います。
だたし、最近はホームページには専門と掲載していても、実際には相続以外の分野も専門と掲載しているケースもあるようです。
そこで、弁護士紹介のページを確認するのがおすすめです。相談に対応した弁護士の注力分野に「相続」と紹介されていれば、専門性が高いと思われて良いでしょう。
良い弁護士の見極め方
実際に相談を受けてみることが大切です。
弁護士の事件処理のスタンスは様々です。
例えば、訴訟を好む弁護士の場合、解決までは長期間(数年)を要したり、弁護士費用が高額化する傾向にあります。
当事務所の相続弁護士は、基本的に不必要な紛争を避け、平和的に、かつ、スピーディーに解決することを目指しています。
これは、事件の複雑化を避けることが相談者の方にとって幸福であると考えているからです。
そのため、相続について争いがないケースについても、積極的に関与し遺産分割協議をサポートするなどの取り組みを行っています。
争いがない場合のサポートについて、くわしはこちらを御覧ください。
もちろん、感情的な対立が激しく、裁判で白黒つけたいという方については、徹底的に戦っていきます。
大切なことは、顧客目線に立った「真の問題解決」を意識することだと考えています。
相続問題については、当事務所の相続弁護士までお気軽にご相談ください。
ご相談はこちらからどうぞ。

