限定承認とは何ですか?

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

相続放棄

弁護士の回答

限定承認とは、被相続人の権利義務を承継するが、相続によって得た積極財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済することを条件とする相続の承認です。

 

限定承認の申述の手続・要件

財産目録の作成し、相続人全員が共同して、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に限定承認をする旨の申述をしなければなりません。

相続放棄とは異なり、限定承認は相続人全員で共同して行う必要があります。

共同相続人の中で相続放棄をした者がいる場合、その相続人は初めから相続人ではなかったことになりますので、相続放棄をした者を除いた相続人全員で共同して申し立てを行えば足ります。

※財産目録は、形式や内容は法定されていませんが、積極・消極とも相続財産を悪意で記載しないと単純承認したものとみなされることがありますので注意してください。

限定承認の申述を行う場合には、相続放棄の場合と同じく、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に対して限定承認をする旨を申述しなければなりません。

もっとも、共同相続人の中にこの期間を徒過している者があっても、他の相続人が熟慮期間内であれば、共同相続人全員で限定承認をすることができます。

 

 

限定承認の効果

限定承認をすることによって、限定承認をした相続人は、相続財産と相続債務を承継することになりますが、債務については、相続財産の限度で責任を負うこととなります。

すなわち、相続によって得た積極財産(プラスの財産)の限度で、被相続人の消極財産(負債等のマイナスの財産)を弁済すれば足りるということです(民法922)。

相続債務を相続財産により清算した結果、残余の積極財産があれば、残余の積極財産は相続人に帰属するので、相続財産が債務超過であるか否かが判断しにくい場合などに効果的です。

また、限定承認のあとに、新しい遺産出てきたとしても、相続債務があるときには、その遺産は債務弁済に当てないといけない点は注意が必要です。

相続債務の弁済に当てるために、相続財産を競売する場合に、限定承認をした相続人は、家庭裁判所の選任した鑑定人の評価に従い、価額弁済をして競売を免れることができます(民法932条ただし書き)。

これを利用することにより、例えば他人に取得されたくない遺産があるときには、価額弁済によって取得することもできます。

限定承認をすれば、相続財産の限度を超過する債務の支払義務はなくなりますが、いわゆる「責任なき債務」として弁済をしてしまえば、それは有効なものとなります。

限定承認した場合に、相続財産に不動産があるときには、限定承認者には「みなし譲渡所得」として課税がされます(所得税法59条1項1号)

 

 

限定承認の申述が受理された後の手続

相談限定承認が受理されると、限定承認をした相続人の中から相続財産管理人が選任され、限定承認者による相続財産の管理・精算手続が開始されます(民法926条)

限定承認者は、限定承認をした後5日以内に、すべての相続債権者及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及びその一定期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければなりません(民法927条1項)。

公告は官報に掲載する方法で行います(同4項)。

また限定承認者が知っている相続債権者・受遺者には各別に申出の催告をします(同3項)。

公告の期間が経過すると、期間内に申出た債権者、限定承認者が知っている債権者に対して、債権額の割合に応じて弁済をしていきます(民法929条)。

ただし、担保権など優先弁済権を持っている債権者は優先的に弁済を受けられます。

相続財産で相続債務の弁済を行う際、相続財産を売却する場合には、競売による方法によらなければなりません(民法932条)。

お金公告期間に申出をしなかった相続債権者や受遺者で限定承認者が知らなかった者は、これらの手続きのうちの残余財産についてのみ弁済を受けることになります。

これら手続きが完了し、なおプラスの財産の残余部分があるときには、限定承認者が相続をすることになります。

相続財産が債務超過にあるときには、相続債権者、受遺者、相続人、相続財産管理人、遺言執行者は破産手続の開始を申し立てることができます(破産法222条、224条)。

破産については、こちらからどうぞ。

 

関連Q&A

執筆者
弁護士 宮崎晃

弁護士法人デイライト法律事務所 代表弁護士

所属 / 福岡県弁護士会・九州北部税理士会 

保有資格 / 弁護士・税理士・MBA

専門領域 / 個人分野:家事事件 法人分野:労働問題  

実績紹介 / 相続の相談件数年間285件(2019年実績)を誇るデイライト法

律事務所の代表弁護士。家事事件に関して、弁護士や市民向けのセミナー講

師としても活動。KBCアサデス、RKB今日感テレビ等多数のメディアにおい

て家事事件での取材実績がある。「弁護士プロフェッショナル」等の書籍を

執筆。


[ 相続Q&A一覧に戻る ]


 

相続発生後のお悩み解決法





なぜ弁護士に相談すべき?