遺産分割後、新たに判明した財産はどうなる?【弁護士が解説】

弁護士の回答

遺産分割協議を無効として全遺産を再分割するか、新たに判明した遺産のみについて分割の協議を行うことになると考えられます。

いずれが適切かは事案によって判断する必要があります。

 

遺産分割協議後の新たな財産

遺産分割協議をした後になって、まだ未分割の遺産が存在することが判明することがあります。

この場合、遺産分割協議全体を無効として全遺産を再分割すべきか、新たに判明した遺産のみを分割すればよいかが問題となります。

特に、当初成立した遺産分割協議で、本来の相場(法定相続分)よりも有利な内容で遺産分割できたと感じている側にとっては、新たに判明した遺産のみを分割したいと考えるでしょう。

反対に、当初成立した遺産分割協議の内容を不利に感じている側にとっては、振り出しに戻して全遺産を再分割したいと考えるため、問題となります。

この問題については、以下のようにケース・バイ・ケースで検討する必要があります。

 

当初の遺産分割協議が無効となる場合

当初の分割協議を無効として扱うべき場合として考えられるのは、脱漏していた遺産が重要な遺産であり、当事者がその遺産があることを知っていたならば、このような遺産分割協議はなされなかったであろうと考えられ、全遺産をもって分割をやり直したほうが公平の理念に合致するような場合、当初の遺産分割協議は錯誤により無効となると考えられます。

なお、裁判例も、分割協議の目的とした一部の遺産と残余財産との区別や両者を分離して処理することについての当事者の合意が不十分であれば、そのような協議は無効であるとしています(高松高決昭和48年11月7日など)。

判例 昭和56年6月18日 福岡家裁小倉支部 昭54(家)2591号

遺産が数個存在するとき、その一部分の遺産分割協議も有効になしうるものと解されるが、その場合には相続人間において当該部分と残余部分とを明確に分離したうえ分割するとの合意が存在しなければならない。
ただし、そうでなければ適正妥当な分割基準の実現に副わないからである。
従って、この合意を欠く遺産分割の協議は不成立もしくは無効と解すべきである。

 

新たに発見された遺産の分割のみでよい場合

他方で、新たに判明した遺産が当初の遺産分割協議を無効とするまでの必要性がない場合には、一部分割の場合の残余財産の分割に準じて、未分割遺産のみを分割すれば足りると考えられます。

もっとも、この場合には、遺産全体の総合的配分に齟齬をきたさず、未分割遺産の分割によって相続人間の公平が図れるように配慮する必要があるでしょう。

以上のように、遺産分割後に新たな遺産が発見された場合にとるべき方法については微妙な判断が必要となり、ようやく終わったと思った遺産分割について再度争いが生じる可能性があります。

 

 

遺産分割協議書のポイント

ポイント遺産分割を行う場合には、後日新たな遺産の存在が判明した場合に備える必要があります。

具体的には、遺産分割協議後新たな遺産が発見された場合に備えて、以下のいずれかの合意内容を記載しておくと良いでしょう。

  1. ① 新たな遺産につき改めて分割の協議をする
  2. ② 新たな財産は特定の相続人が取得する
  3. ③ 新たな財産について取得の割合を定めておく

上記のいずれかが適切かは具体的な状況によって判断します。

遺産分割協議書①と②の方法は、再度、分割についての協議や相手との調整が必要となるため、トラブルのおそれがゼロではありません。

特に、①については、取得の割合から話し合う必要があるので、相手が応じてくれない場合、調停申立てが必要となる可能性があります。

②については、分割の話し合いは不要なため、トラブルの可能性は低いでしょう。

しかし、特定の相続人のみ有利となってしまう可能性があるため、不公平の取られてしまい、当初の遺産分割協議については成立しない可能性があります。

このようなメリットとデメリットをまとめると、下のようになります。

記載する合意内容の比較

① 新たな遺産につき改めて分割の協議をする

メリット  公平感があるため当初の遺産分割協議は成立しやすい

デメリット 新たな財産発見時にトラブルの可能性がある

② 新たな財産は特定の相続人が取得する

メリット  新たな財産発見時に争いとならない

デメリット 当初の遺産分割協議が成立しにくい

③ 新たな財産について取得の割合を定めておく

メリット  取得割合が法定相続分であれば納得感があるため当初の遺産分割協議が成立しやすい

デメリット 新たな財産発見時に争いとなる可能性がゼロではない

 

 

 

まとめ弁護士以上、遺産分割後に新たな財産が判明した場合について、くわしく解説しましたがいかがだったでしょうか?

このようなケースでは、遺産分割協議を無効として全遺産を再分割するか、新たに判明した遺産のみについて分割の協議を行うという方法がありますが、いずれが適切かは事案によって判断する必要があります。

そして、まだ遺産分割協議がなされていない状況では、遺産分割後の紛争を予防するといった観点も必要となります。

そのため、遺産分割協議書については、相続問題に詳しい弁護士に助言をもらわれることをお勧めいたします。

当事務所の相続対策チームは、相続問題に注力する弁護士・税理士のみで構成される専門チームであり、遺産分割などの相続問題について、強力にサポートしています。

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